こんにちは、(@nagisahiroi)いのこです。

今日は、(ミドリイシ属などの)サンゴ枝の間を好んで生活する「キモガニ」について一緒に観察していきましょう!
学名 | Cymo melanodactylus De Haan,1833 |
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分類 | オウギガニ科 |
大きさ | 幅~2.5cm |
出会えたうみ | ヒリゾ浜/ビーチ/静岡県南伊豆 赤鯱前 /ビーチ/和歌山県串本 |
出会えた水深 | 10m以内の浅場 |
出会えたうみ遊び | スノーケリング スキンダイビング ダイビング |
キモいカニだからキモガニなの!?

サンゴを好むカニ類と言えば「サンゴガニ科」と呼ばれる色彩豊かな体色を持つ種類が人気なのですが、今回の主役「キモガニ」も同じくサンゴを好むカニ類の代表的な存在です!

この子が「キモガニ」です!
特徴のある青みがかった目を持っていて可愛いんですよね~
なのに、名前に「キモ」の字が入っていることから「キモいカニ」=「キモガニ」の名前が付いたと勘違いされることが多いみたい…
僕もお客さんに紹介した後に「この子の名前はキモガニですよー」とお伝えすると、ほぼ全員が失笑されるので情報は間違っていない気がします。
だからこそ、本当に「名前であらぬ誤解をされている不憫なカニ」なんです…

大きさも可愛らしいサイズなのにね!
本当の由来は学名をそのまま和名にしたから
なら、なんで「キモ」と名付けたのか気になってくると思うのですが、これは学名が「Cymo melanodactylus」で「Cymo」の学名をそのまま和名にしたのでキモガニになりました。
“キモガニ”という標準和名はカニ類の世界的な研究者である酒井恒博士により日本産蟹類図説(1945)の中で、“属名をそのままに”という脚注を添えて提唱された。その後、酒井博
士は日本産蟹類(1976)において本種の和名をサイモガニに改称しているが、三宅(1983)を
はじめ、永井・野村(1988)、峯水(2000)、川本・奥野(2001, 2003)等、国内の多くの文献ではキモガニが用いられている。
著 平林 勲
(株)串本海中公園センター
マリンパビリオンVol.48 No.1,2019
学名が和名の由来なのは分かったのですが、ここで新たな疑問が!
(Cymoの意味って何なんだ?)
和名の由来となったCymoという属名であるが、Cymo属を提唱したDeHann(1833)ではその語源についての記述はなされていない。よって属名の由来については定かではないが、植物学の専門用語を記したJackson(1990)によると、ラテン語で波やキャベツの新芽、広く平らな花弁の集合体をCymeと表現することがあるようで、Cy’mose、Cymo’sus、Cy’mous などは Cyme の状態を表す関連用語とされている。このことから、あくまで筆者の想像であるが、DeHannは本属の全体に短毛や顆粒を密生する姿をみて花序の集合体を連想したのかもしれない。
著 平林 勲
(株)串本海中公園センター
マリンパビリオンVol.48 No.1,2019
ほぉ~、なるほどね!

「短い毛や顆粒を密生する姿」が名前の由来になった可能性があるらしい。
こう言う事を改めて調べると面白いんですけど、学名とか和名付けた学者さん?研究者さん?にお伝えしたいのは「僕はこう言う理由で名前を付けました!」て、ちゃんと名前の由来も記録に残してほしいなと切実に思っております!
キモガニに会いたいならサンゴを探せ!

キモガニに会いたい場合は「とにかく棲み処にしているサンゴ類を探す」べし!

生息数は普通種で多いのか、枝の間を覗けば高確率で居てくれるので、ぜひ、気になった方はサンゴのすき間を探してみましょー!




キモいから名前が付いたと勘違いされる不憫なカニ「キモガニ」のことが気になりましたらぜひ、一緒に会いに行きましょうね!
出会えたうみ | ヒリゾ浜/ビーチ/静岡県南伊豆 赤鯱前 /ビーチ/和歌山県串本 |
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狙い目の時季 | ヒリゾ浜は7月~9月 串本は通年 |
出会えた水深 | ~10m以内の浅場 |
出会えたうみ遊び | ダイビング スノーケリング スキンダイビング |
参考文献
①平林 勲
マリンパビリオンVol.48 No.1,2019
(株)串本海中公園センター
②加藤晶一、奥野淳兒
エビ・カニ・ガイドブック2001
株式会社ティビーエス・ブリタニカ