こんにちは、(@nagisahiroi)いのこです。

冬から春に変わる頃(2月~3月)に見かける機会が多くなるので「春の到来を教えてくれるカニ」と感じている「ミズヒキガニ」について一緒に観察していきましょう!
学名 | Eplumula phalangium |
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分類 | ミズヒキガニ科 |
大きさ(甲長) | ~1cm 足まで含むと~15cm越え |
出会えたうみ | 大瀬崎/ビーチ/静岡県西伊豆 |
出会えた水深 | 12mよりも深場 |
出会えたうみ遊び | ダイビング |
海藻片でも良いから持ち上げて威嚇します
ミズヒキガニは「水温が下がってきて藻類が元気に育つ時期(2月頃~)」に「藻類が生い茂っている水底やガイドロープ沿い」を念入りに探すと見つけやすいです。

おぉ…こちらを見ていますね。

遠目からでも「海藻片を“両方のハサミ”で掴んでいる」ことが確認できましたので、最初、僕は「海藻を食べているのかと勘違い」していました。

調べてみると、どうやらこれは食事では無く「海藻片で威嚇をしている」とのこと。
“第4歩脚”の指部ははさみ状で、海藻片などを持ち、危険を感じるとそれを振り上げて威嚇します。
アクアマリンふくしま
生き物紹介ブログ記事
手持ちの図鑑情報で「刺胞毒を持つヒドロ中(シロガヤなど)を武器にする」ことは知っていたので、どうやら「威嚇に使用する武器に毒の有無は関係ない」みたいですね。
とにかく何でも良いから掴んでいないと不安を感じる性格なのかな。
いつから見ていると勘違いしていた!?
さらに、情報を集めたことでさらなる衝撃の勘違いに気付いてしまいました。
海藻片などを持つ器官の名前は“第4歩脚”。
えっ…脚???腕じゃないの???
と言う事で改めて写真を見返してみましょう!

あぁ!腕のハサミはそこか!

と言う事は、キミは背中を向けていたのね!
これは騙されるわ…
完全にこっちを見ていると勘違いしてしまいました。
皆さんは気付いてましたか?
こうやって気になった生きものを詳しく調べ直すことで「勘違いや新しい発見に気付けた瞬間」が面白いですよね♪
名前の由来は「水引」
ミズヒキガニは「第4歩脚を持ち上げている姿が『水引』に似ている」ことから名前が付きました。


確かに並べてみると「水引」に似ている気がするな〜
本当に、名前を付ける方の想像力は素敵ですよね。
僕なら足を高く上げるから「アシダカガニ」とか安易に付けそうだもんな~
子供は「藻類の動くマネ」と「棘」が生存戦略!?

藻類にまぎれていた成体になる前(幼体)の小さなミズヒキガニを発見!

肉眼では気付かなかったのですが「(成体にもありますが)全身を守るように鋭い棘がビッシリと生えていた」ので、幼体に襲いかかった肉食魚は口の中に激痛が走りそうな見た目ですね。
やっぱり触ったら痛いのかな?

ちなみに大きさはこのくらい。

成体になっても「殻甲(大きさ)が最大1cm程度」なので、幼体だと極薄ぺらっぺら。

殻が目立って見つかりやすいのが実に惜しい。
なので、大型の肉食魚(ミノカサゴなど)に見つかると棘ごとバリバリと食べられてしまいそう。
そこで、ミズヒキガニが考え抜いたと思われる生存戦略の1つが「私は藻類ですよ?」作戦。
この動き、正に藻類!
図鑑や水族館の解説版を探しても「動きについての情報」は見つかりませんでしたが、おそらく藻類の動きに似せている気がしています。











出会えたうみ | 大瀬崎/ビーチ/静岡県西伊豆 |
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狙い目の時季 | 2月、3月 水温が低い時期が狙い目 |
出会えた水深 | 12mよりも深場 |
出会えたうみ遊び | ダイビング |
生き残るためなら海藻片だろうが武器にする「ミズヒキガニ」のことが気になりましたら、ぜひ、一緒に会いにいきましょう♪
参考文献
①アクアマリンふくしま
生き物紹介,ミズヒキガニ
https://www.aquamarine.or.jp/animals/arrowcrab/
②小林安雅
「日本の海水魚と海岸動物図鑑1719種」2014
株式会社 誠文堂新光社