ナマコの名前の由来は!?
昔は芋虫の形をしている生きものを『コ』と呼んでいたみたいです。
そして、ナマコは生で食べられていたので、生(ナマ)で食べる芋虫形の生きもの(コ)でナマコと呼ばれるようになりました。
ちなみに漢字で書くと『生古』
それに、ナマコの腸の塩辛を『このわた』と呼ぶのも、コの腸(はらわた)からきています。
ナマコは何を食べるの!?食事方法は?
ナマコは主に海中にある有機物やバクテリアを食べています。
好流性懸濁物(けんだくぶつ)食者
水の流れの中に大きな触手を広げながら伸ばして、流れにのってきた有機物の粒子をつかまえて食べる方法。
堆積物(たいせきぶつ)食者
水底にある砂や泥を触手で口に運んで、そこについている有機物やバクテリアなどを濾しとって食べる方法。
身近なマナマコなど海底を歩いているナマコの仲間は堆積物食者をしている子が多いです。
ちなみに、マナマコが砂を飲み込める量は体重の大体1/3ほどらしい。
小さいナマコだと体重と同じ量が入っていた報告があるみたいなので、結構な大食いですね。
うみのお掃除屋さん。うんちはきれいな砂になる!?
動画で見てみよう♪
水底をのそのそと動きながら触手に付着した砂や泥を食べて砂に付いていた有機物やバクテリアを濾しとって食べている(堆積物食者)のナマコの仲間は、お尻(肛門)からきれいになった砂のうんちをブリっとだします。
なので、ナマコは海底にある砂をきれいにしてうみの環境を守ってくれているとても大切な存在なんです。
そんなうんちを出している様子を撮影しました。
最後(0:16~)
力を込めて踏ん張ったせいか勢い良くうんちが飛び出す所がクセになって何回も見なおしてしまうかも(〃艸〃)ムフッ
うんちをしているだけでこんなにもワクワクさせてくれるなんて、やっぱりナマコさんはすごいなー
こんな生きもの他にいない!!
ちなみに、食べた砂を糞として出すまでの時間はナマコの種類によって違いがあり、動画に映っているマナマコは約20時間、奄美大島以南に生息するシカクナマコは約8時間かかるとのこと。
ウンチを出すとき歯にあたる!?
ナマコの歯はどこに生えていると思いますか?
タイトルにヒントが隠されていたのですがなんと、お尻の穴!!
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肛歯(こうし)と呼ばれる5本の歯が生えています。
この歯はすべてのナマコが持っているわけではなく、何のためにあるのかも不明。
これは理由が気になりますね!
呼吸はお尻と足と!?
人間が呼吸をするときは肺呼吸と皮膚呼吸をしますが、ナマコはなんと3か所から呼吸をすると考えられています。
それだけでも驚きなのに、その呼吸をする場所がもっとおどろき!!
①お尻の穴から呼吸樹を使って!?
呼吸樹(こきゅうじゅ)とは?
お尻の穴から2本伸びていて、体腔(たいこう)の中に浮かんでいる管のこと。
体腔とは?
体壁(たいへき)と内臓の間のすき間のこと。
②体壁を使って!?
人間でいう皮膚呼吸のようなものかな。
③足を使って!?
たくさん生えている管足(ナマコの足)の壁を通して酸素を取り込む。
お尻の穴や足から呼吸するって…やっぱり、ナマコは不思議ちゃんですね(笑)
呼吸樹を持たないナマコの仲間もいるのですが、その子たちは②&③の方法を使っていて、呼吸樹を持つ子たちは3つとも使っていると考えられています。
呼吸樹で全体の半分ほどの酸素を取り込み、残りの半分を体壁や管足から取り込んでいるとのこと。
お尻(肛門)で呼吸する様子を動画で見てみよう♪
ダイビングのお手本のような「ゆっくりと大きい呼吸」をしていました。
触ると白いネバネバの糸を出す!?
ナマコを触っていると、ビュビュ~っと勢いよくお尻(肛門)から白いネバネバの糸を吐き出すことがあります。
これをキュビエ器官と言います。
キュビエ器官のキュビエの由来は、ジョルジュ・キュヴィエさんが初めて記載したのでその名前にちなんで呼ぶようになりました。
このキュビエ器官は熱帯域に住む楯手類(じゅんしゅるい)の仲間の一部が持っているのですが、熱帯域に住むナマコにキュビエ器官を持つ子が多い理由は『熱帯の方が生きものの種類が多い=捕食者が多い』ため。
さらに、水温によって変動はありますが吐き出してから2か月ほど経つと元通りになると言われています。
他の動物に攻撃されたときにネバネバの糸でからめて撃退する為に使うと言われています。
ただし、すべてのナマコの仲間が持っているわけではなく、僕の飼育しているマナマコはキュビエ器官を持っていないです。
このキュビエ器官は手につくとかなり厄介!!
ネバネバして全然取れないんです。
手についてしまった場合は、水道の真水で洗うと粘り気がなくなってとれます。
海水だと粘り気が取れずに大変な思いをしますので気を付けて!
天敵には誰がいるの!?
タラ、サメ、カニ、ヤドカリ、ヒトデ、ウズラガイなどが襲って食べた報告があります。
サメはフクロナマコの仲間を襲うのですが、どのサメが食べに来るんだろう?
手持ちの図鑑やネットを見ても情報がないので、どなたかご教示いただけましたらさいわいです。
ナマコを棲み処にする生きものたち!?
ナマコの体内や体表を棲み処(すみか)にする生きものたちがいます。
ナマコは穏やかな性格の持ち主なので人気があるみたいです。
‹カクレウオ科の仲間›体内
お尻の穴から体内に入り込む細長い魚。
体長 ~8cmほど。
ナマコに害を与えるかは不明。
‹ウロコムシ科の仲間›体表
ナマコウロコムシは色彩変化が多く棲みかにするナマコと同色が多い。
腹側についていることが多いのでナマコをひっくり返して探すと見つけやすいかな。
他にはカクレウロコムシなどがいる。
‹ハナゴウナ科の仲間›体内・体表
ハナゴウナ科は巻貝の1種。
クロナマコヤドリニナはクロナマコ・ニセクロナマコに寄生する。
シカクナマココノワタヤドリニナはシカクナマコにのみ寄生を確認。
近縁のセトモノガイの仲間も寄生する。
これらの寄生貝はナマコの体液を吸うなどの害を与えることが知られています。
‹甲殻類の仲間›体内・体表
ナマコマルガザミ(ワタリガニ科)はジャノメナマコなどに寄生する。
海藻やデトリタス以外にも宿主のナマコをついばんで食べるなど雑食性のカニ。
シロナマコマメガニはシロナマコの腸の中に寄生する。
ウミウシカクレエビはジャノメナマコなどの体表を探すといます。名前にウミウシの名前が付いているけどナマコの方が棲み心地が良いのかな?
他にもまだまだ居そうですね。
ハナゴウナ科に含まれるセトモノガイの仲間はナマコと同じ棘皮動物の仲間のウニにも寄生します。
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黄色丸がそのセトモノガイの仲間です。
(写真はキンイロセトモノガイと思われる。)
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見た目はきれいな貝ですね。
この写真に写っているムラサキウニは10匹以上も寄生されていました。
ウニの寄生貝については別の記事に書いてみました。
世界最大と最少はどの子なの!?
クレナイオオイカリナマコ
<大きさ>
4.5m
<直径>
10cm
<生息地>
奄美大島の水深7~15mの砂礫底からのみ知られる。
世界最大種が日本の奄美大島(鹿児島県)で見つかったことがうれしい。
日本の生きものが世界最大なんて誇らしいな♪
ちなみに、世界一重いナマコはアデヤカバイカナマコで体重5kg、大きさは1mもあったんだとか。
Parvotrochus belyaevi
<大きさ>
1,5mm
<直径>
0.8mm
<生息地>
どこかの深海
これは小さい!!
一体どんな姿をしているんだろう?
見てみたいなー
冬眠じゃなくて夏に眠るナマコがいる!?
クマは冬の時期にねむる冬眠(とうみん)をしますがマナマコはその逆で夏にねむります。
夏に眠(ねむ)ると書いて夏眠(かみん)と言い、18℃を目安にマナマコは夏眠をする準備を始めると言われています。
そのマナマコの生活環は、『活動期・夏眠期・夏眠期・回復期』の4つにわけられるとのこと。
活動盛期
8~10℃以下
夏眠前期
17.5℃~19℃
夏眠期
24.5℃
回復期
夏~秋期の水温下降がキッカケ
活動期
水温が19℃~20℃前後に下降
低水温では日中でも夜間でも変わらず活動しているのですが、高水温になるにつれて段々と日中の活動が少なくなり夜間の活動、つまり夜行性になるみたいです。
<1月~9月頃>
~15℃前後
1日中変わらず元気
15℃~18℃前後
日中の動きが少なくなったような
20℃~24℃
日中はほぼ動かず、夜間はちょくちょく動く
25℃~27℃
日中は全く動かず。夜間も動きが少なくなったような。
※水槽用ライトは8:30~15:00点灯
<9月以降~1月>
27℃~20℃
日中は全く動かず。夜間も動きはほぼなし。
18℃~16℃
日中は全く動かず。夜間は若干動くよう。
15℃~13℃
日中も覚醒し始めました。夜間の方が動きが多い。
※水槽用ライトは8:30~12:00点灯
夏眠明けはお腹が空く!?
長い夏眠生活を終えて目が覚めたばかりだとお腹がぺっこぺこで栄養不足(えいようぶそく)なのか触手の色が薄い。
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夏眠前の触手は鮮やかな赤色
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夏眠後の寝起きの触手は薄いピンク色でした。
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夏眠前と比べると体色は変わらず、背中にある疣足(いぼあし)も良い感じにとっきんとっきんしているので見た目は元気そうなんですけどね。
それに、ウンチもあったのでご飯を食べ始めたみたい。
お腹いっぱい食べてなー