こんにちは、(@nagisahiroi)いのこです。
今回は「構造がちょっと違う棘」「棘を包む透明な膜」「イチゴパンツに棘皮の証」など気になる魅力が満載の「トックリガンガゼモドキ」について一緒に確認していきましょう。
学名 | Ecbinotbrix calamaris (Pallas,1774) |
---|---|
分類 | 正形類 ガンガゼ目ガンガゼ科 |
大きさ(殻径) | ~10cm |
出会えたうみ | 大瀬崎/ビーチ/静岡県西伊豆 黄金崎/ビーチ/静岡県西伊豆 平沢 /ビーチ/静岡県西伊豆 井内浦/ビーチ/三重県熊野 |
出会えた水深 | 2m~15m |
出会えたうみ遊び | ダイビング スノーケリング スキンダイビング |
結構、日中も出歩きます♪
ウニと言えば「日中は(転石裏や岩礁のすき間など)暗い所を好む」イメージが強いかと思います。
もちろん、トックリガンガゼモドキも同じような場所で出会うこともあるのですが、
日中でも比較的明るい場所で出会えたり、
ガッツリと出歩いていることもあります。
ガンガゼよりも「太い棘」をお持ちなので天敵に狙われにくいのかな?
棘の構造は複数ある?
トックリガンガゼモドキの棘は「ウニ界でもトップクラスの美しさ」を誇ります♪
その棘を観察してみると「溝がある」
「ノコギリのような凹凸がある」
「蛇腹(じゃばら)状になっている」など構造に違いがあるように感じました。
さらに「長く伸びた棘」以外にも「短く細い棘」も備えています。
トックリガンガゼモドキ属の副棘(毒棘)の先端には明確な“返し”がついており一度刺されるとなかなか引き抜くことが出来ません。
ウニハンドブック
著 田中颯・大作晃一・幸塚久典
「毒がある副棘には返しがある」みたいなので、構造の違いには意味がありそうですね!
棘を覆う透明な膜が気になります!
その棘を間近で観察してみると「透明な膜に覆われている」ことに気付きました。
(この膜って何なんだろう?)
うちで飼育しているトックリの子ども時代(殻径約1cm)にもすでに膜は存在していました。
さらに「抜け落ちてしまった状態」でも膜は健在でした。
同じウニの仲間の「コシダカウニ」にも膜がありましたので必ず何か理由があるはず。
ただ、コシダカウニは「毒を持っていない」種類なので、膜は毒の利用とは関係ないみたいですね。
「膜の中を海水で満たして『水圧で棘を保護』している」のかも?
図鑑を読み漁っても存在理由について言及している記載は見当たらず謎のままなので、答えを探していきたいですね♪
棘に刺されて膨らみ発見!
ある日、飼育している子の棘が刺さってしまったので観察してみると「宝石みたいな膨らみ」を発見!
あまりの美しさに目を奪われてしまいました…
(この膨らみに毒が入っているのだろうか?)ジンジンする痛みがある。
少し間をおいて抜いてみたら気になることを発見しました!
苦手な方はスルーしてね!
タップで表示されます。
エサを手渡しする際に「刺された瞬間」の写真では「膨らみ」は無いっぽい。
この後、観察のために「(棘とワカメを取り除いて)棘1本だけ残した状態」にしました。
その作業後に確認すると「例の膨らみ」を確認。
さらに経過観察を続けてみると
棘の根元部分に「赤い液体」が発生していることに後日、写真を確認して気付きました。
(ウニの体液でも出てきたのかな?)と考えていたのですが、X(旧Twitter)に投稿したことで理由が判明しました。
X(旧Twitter)の住民たちの考察がおもしろい
トックリガンガゼモドキ(ウニ)の副棘に刺さったので観察したら「宝石みたいな膨らみ」があって、あまりの美しさに目を奪われてしまった…この膨らみに毒が入っているのだろうか?ジンジンする痛みがある。少し間をおいて抜いたら気になることを発見! pic.twitter.com/7tiMMfLacp
— ウニ好きガイドいのこ@ダイビングとスノーケリング専門のお店なぎさひろい✳清須事務所と西尾店✳ (@nagisahiroi) June 23, 2024
『この棘の膨らみキレイだよー!』と伝えたくてXに投稿してみると沢山の方々がご覧になり貴重な知見や考察を教えてくださいました。
どうやら、「膨らみは『圧力の差(陰圧/陽圧)』が関係している」のではないか?とのこと。
つまり、ザックリお伝えすると膨らみや赤い液体はウニの体液ではなくて「僕の血液(体液)が圧力の差で吸い出されてしまった」みたい。
という事は「刺さっている間は体液が吸い出され続けていた」可能性もあったのかな?
こう言うことを体感すると尚更「棘の構造や意味」に対する興味が尽きないですね♪
他のガンガゼ類との見分け方はイチゴパンツ
『ガンガゼとトックリガンガゼモドキはどこで見分けるの?』と聞かれることがあります。
慣れてくると「棘の太さが違うこと」で簡単に判別できるのですが、稀に「棘が(トックリが持つ)しま)模様のガンガゼ」も居るのがややこしくしている一因になっています。
なので、誰でも簡単に1発で見分けるコツは「イチゴパンツ柄の有無」です!
トックリガンガゼモドキのお尻(肛門)を観察してみると「熟す前のイチゴ柄」になっています♪
この特徴は「子供の頃でも確認」できます。
ガンガゼは「目玉のような模様」になっていますので、見分けるときはお尻(肛門)を観察してみましょう!
お尻(肛門)の先に5を発見!
お尻の頂上付近にある出っ張りを拡大してみると、
棘皮動物が持つ「五放射相称」の証である「数字の5」が隠されていました。
こんな細部に至るまで「5」が刻まれていて「棘皮動物の証を大切に守っている」感じを受けますね♪
叉棘の形について
「爪状叉棘(つめじょうさきょく)」
「葉状叉棘(ようじょうさきょく)」の「2種類」がありました。
「構造がちょっと違う棘」「棘を包む透明な膜」「イチゴパンツに棘皮の証」など気になる魅力が満載の「トックリガンガゼモドキ」のことが気になりましたらぜひ、一緒に会いに行きましょう♪
出会えたうみ | 大瀬崎/ビーチ/静岡県西伊豆 黄金崎/ビーチ/静岡県西伊豆 平沢 /ビーチ/静岡県西伊豆 井内浦/ビーチ/三重県熊野 |
---|---|
狙い目の時季 | 通年 |
出会える水深 | ~20m |
出会えるうみ遊び | ダイビング スノーケリング スキンダイビング |
●参考文献
田中颯・大作晃一・幸塚久典 著
「ウニハンドブック」2019
株式会社 文一総合出版