こんにちは、いのこです。
今回はうみの厄介者扱いされているけれど「多くの生きものたちを守る大切な存在」でもあるガンガゼについて書いてみました。
ガンガゼの生態情報
分類
ガンガゼ目
ガンガゼ科
(正形類)
学名
Diadema setosum
(Leske,1778)
大きさ
~7cmほど
生息地・生息域・分布域
相模湾、若狭湾以南
仲間と寄り添い外敵から身を守る
ガンガゼは漢字で「岩隠子」と書きます。
「光が苦手で岩陰などに隠れて過ごす」ことが由来と考えられています。
そのガンガゼを観察してみると写真のように「仲間と寄り添っている」ことが多いと思います。
これには説がいくつかあるみたいなのですが、僕が1番しっくり来た説が「外敵から身を守る」ため。
仲間と寄り添うことでお互いの棘が重なり「棘と棘の間のすき間を少なくする」ことで外敵に対する防御をより強固にしているとのこと。
棘が少ない肛門部分などを狙われたり棘を掴まれて引っ張り出されたりしたら大変ですからね…
天敵はイシダイ、ブダイなどの「強力なアゴ」を持っているサカナ達で、棘や殻をバリバリと噛み砕いて食べてしまいます!!
目が合うと思ったら肛門(おしり)です!
ガンガゼを観察するときは「上から」眺めるのがおススメです!
青い点々が美しいですよね~
こうやって見ると本当に「地球外生命体が乗る宇宙船(UFO)」みたい。
(黄色部分からビームを放つんじゃないかとか色々想像しちゃいます 笑 )
真上から観察してみるとこんな感じに見えます。
先ほど、ビームを放つんじゃないかと思った「真ん中にあるプルプルしてて柔らかそうな部分」が実は「肛門(おしり)」なんです♪
(よくお客様から「あれって目なんですか?」と質問されることが多いのでお間違えないように。)
拡大してみました。
肛門の中にみっちりとウ●チが溜まっています。
ちゃんとエサを食べて元気な証拠ですね。
棘を観察する
次はガンガゼ類最大の特徴である「細長い棘」を観察してみます。
ガンガゼの棘は「折れやすく、毒がある」のでお気をつけて。
ガンガゼの棘をよく見ると「薄い膜」に包まれていますね。
これ、トックリガンガゼモドキと同じ構造なのかな?
流石「ガンガゼモドキ」、棘を膜のようなもので包むことも忘れずに似せているなんてお主やりおるわ!!
他のガンガゼ類の棘も同じように「膜で包まれている」のか気になりますね。
棘で優しく守ります
ガンガゼの周りを観察してみると多くの生きものたちが見つかります。
サラサエビ
ガンガゼカクレエビ
他にも、ヨウジウオ類、イシモチ類、ウバウオ類、ハナゴウナ類(巻貝)など。
うみの厄介者で知られるガンガゼ類ですが、「長い棘を使って沢山の生きもの達を天敵から守る」お母さん的存在でもあります。
なので、大量発生して駆除されたり棘が刺さると危険など悪い印象ばかり目立っていますが「自然界にとって大切な役割を果たしているウニの1種」なので毛嫌いばかりしないでやってくださいね。
棘を使って器用に歩きます
「ウニが棘を使って歩く様子を観察」するときに最も最適だと思う子がガンガゼ類。
器用に動かして歩くんですよ♪
しかも速い!!
僕が出会ってきた中で「最も最速な子はオーストンフクロウニ」ですが、ガンガゼもトップクラスに入るんじゃないかな~
ぜひ、機会がありましたら「歩く速さを想像」しながら観察してみてね♪
ガンガゼの見分け方と色違い
最後に「ガンガゼの見分け方と色違い」で今回は締めます。
ガンガゼに似ている種類に「アオスジガンガゼ、アラサキガンガゼ」がいます。
この3種類が本当に似ていて、アオスジとアラサキなんて「長らく同種と考えられていた」くらい見分けが付きにくくて厄介なんです…
長らくアオスジガンガゼとアラサキガンガゼは同種とされていたが、近年DNAを用いた研究により別種であることが再認識された。
ウニハンドブック
田中颯・大作晃一・幸塚久典 著
では、「どこでガンガゼをアオスジ/アラサキと見分ける」のか?
それは、「青い模様」に注目すれば分かります。
写真の子を観察すると「青い点々」になっていますね。
この「点」になっていることがガンガゼの特徴なんです。
こちらの写真の子は「点」ではなくて「線」になっています。
つまり、「ガンガゼではなくアオスジもしくはアラサキである」と言うことなんですね。
ガンガゼ
アオスジまたはアラサキ
ガンガゼと出会いましたら、青い模様が「点」なのか「線」なのか確認をお忘れなく!
色違いシリーズ
真っ黒くろすけ
棘の根元が「黄緑色」
棘の根元が「濃い緑色」
「ガンガゼ」ダイビングで出会えるウニ図鑑まとめ
*今回お伝えしたかったこと*
ガンガゼの生態情報
仲間と寄り添い外敵から身を守る
肛門の位置を確認する
棘を確認する
棘で優しく守ります
棘を使って歩きます
ガンガゼの見分け方
色違いシリーズ
ぜひ、ガンガゼと出会えましたら「青い点」を確認して癒されてみてね♪
ウニハンドブック
田中颯・大作晃一・幸塚久典 著
ウニと共生生物図鑑
山守瑠奈 著